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水無川北沢右俣
越後での沢登りは今回が初めてだ。
宮城からだと単なる会社員が休日を使用して遠征するにはなかなか骨が折れるエリアである。
今回は水無川流域の北沢を遡行した。
ケーシが左俣を遡行した際に右俣に謎の大滝が見えたという情報をもとに今回の遡行が決まった。
北沢の左俣は遡行対象としてもよく知られているが、右俣はネット上に記事はなく古い記録が誌上にあるだけだ。
一体、何が待ち構えているのだろうか。
また水無川は大滝が多く流れる沢としても滝好きには有名である。
関門の滝・幣の滝・北沢大滝と素晴らしい巨瀑が連続する。
北沢右俣の大滝も一体どんな滝なのだろうか。
わくわくしながら新潟へ向かう。
行程
ログ・YAMAP
水無川北沢右俣 / kuzumisawaさんの天狗平の活動データ | YAMAP / ヤマップ
装備
ハードシェル・沢靴(ラバー)
水1.5L・行動食
ハーネス・ガチャ類・ロープ(30m2本 )
撮影装備一式
一泊装備
YOUTUBE
水無川北沢の規模は写真では伝えきれないので、ぜひ動画でも見てほしい。
2024年9月14日 北沢右俣
06:40 千之沢小屋
仙台をポムチムと出発し、夜通し車を走らせ越後へたどり着いた。
越後駒の南魚沼側の玄関「千之沢小屋」で準備していると、今回のメンバーがぞくぞく集まってきた。
今回はポムチム・ケーシ・ナカザワ・ヤマクルミ・クズミサワの5人パーティーだ。
写真の車もほとんど沢ヤで、みなオツルミズ沢へ向かっていった。
我々も林道を歩き水無川入渓点を目指す。
林道を歩くナカザワさんの背中から「ワクワク」と聞こえてきそうだ。
07:14 水無川入渓
写真のスリット堰堤手前から水無川へ入渓する。
堰堤を越えると水が伏流していた。これが水無川の由来なのだろうか。
デトノアイソメまでは平凡な河原歩きが続く。
しかし白くなるまで磨かれた花崗岩が続く光景は美しい。
下部ゴルジュは巻くつもりだったが、試しでヤマクルミくんがチャレンジしてみることに。
ヤマクルミくんの雄姿を眺めつつ我々は日向ぼっこ。チャレンジする気もない男たちは呑気に応援していた。
結局、下部ゴルジュは巻くことに。
写真でもみても高度感は抜群だ。
御月山沢出合には雪渓が詰まっていた。
高巻きは明瞭な踏み跡がありルート選びには迷うことがなかった。
懸垂下降を挟み沢に降り立つ。
12:50 関門の滝
落差:40m
形状:直瀑
水系:信濃川水系
前衛滝を右岸から巻き滝前に懸垂下降。
見えてきたのは落差40mの関門の滝だ。
周囲の風景から40mには見えず、それ以上の巨瀑に見える。
関門の滝をぐるりと囲む岸壁の絶望感が凄まじい。
関門の滝は右岸をロープを出して登った。
関門の滝の上流も滝は続くが、関門の滝レベルの巨瀑は出てこない。
この区間は難所もなく快適に沢登りを楽しむことができる素晴らしいポイントだ。
写真の自分もあまりにも楽しい沢登りに喜んでいる。楽しく遡行を続けていると、一気に沢が開けた。
日本最大級の両門の滝が現れたのだ。
14:15 北沢大滝・幣の滝
落差:100m
形状:段瀑
水系:信濃川水系
落差:200m
形状:分岐瀑
水系:信濃川水系
左の滝が北沢大滝、右の滝が幣の滝。日本トップクラスの滝の競演だ。
このレベルの滝ならどちらか1本でも滝好きには垂涎の1本なのだが、2本なんてもう…。
滝がデカすぎて、カメラの画角に収まりきらなかったのでGoProから切り抜くしかなった。
この景色は素晴らしいとしか言いようがない。
しばらく滝の前で自然の圧倒的な造形美に打ちのめされていた。
ここからは北沢に入り、北沢大滝を登っていく。
北沢大滝上流もしっかり滝が出てくるので、直登したり巻いたりと忙しい。
二俣から右俣に入る。ここから先は情報がほとんどなくなってしまう。
16:30 北沢右俣大滝
日が暮れる前に右俣に入ることができたが、今日のテン場が見つからない…。
右俣大滝はほとんど枯れてしまっており、求めていた滝とは違っていた。
大滝を登りテン場を探し続けるも、先に見えるのは絶望的なゴルジュのみ。
もうここはあきらめるしかないのだと、なんとか横になれそうな大滝の岩棚で夜を明かすことに決めた。
写真に写る三人も夕日の中で途方に暮れてしまっている…。
「ホテル大滝」の完成だ。
もうここまで来たらヤケクソの笑顔。
2024年9月15日 水無川北沢右俣
05:30 北沢右俣・三俣ゴルジュ
ホテル大滝で起床すると、滝の流路が変わっていて何人かの背中・尻がびしょりと濡れてしまっていた。
朝からテンションが下がるメンバーだが、今日は脱渓して登山口まで辿り着かなくてはならない。
朝も早いうちから出発し、三俣ゴルジュに入る。
三俣ゴルジュはその名の通り三俣に分かれており、記録があるのは左俣のみ。
我々は登山道が近い中俣を選んだ。つまりここからは本当の未知のエリア。
ゴルジュの側壁は高く一度入れば途中で抜け出すのは難しいだろう。
CSの詰まったゴルジュをヤマクルミ君が突破し、後続が荷揚げをする。
それを何度も繰り返し少しずつ標高を上げていく。
ナカザワさんの登攀にポムチムもお口をあんぐり。
三俣ゴルジュでの奮闘劇はぜひ動画を見てほしい。
09:00 檜廊下
中俣を詰めていくとヤブに突入した。
ゴルジュも相当悪かったが、ヤブも負けず劣らず悪い。
こんな顔になるのも無理はない。
14:30 豪雨の下山
何とか登山道に出て、あとは下山するだけだと歩いていたらずいぶん大粒の雨が降ってきた。
もともと雨は降る予報だったので、気にしないどころか涼しくて気持ちいいとも思っていた。
しかし尾根を下りながら対面の山肌に見えた幾筋の滝に気づいたときにはもう遅かった。
大増水したため途中の渡渉が不可能となり、登山口で停滞することに。
水無川も昨日の姿から一変し、とんでもない音を立てながら水を集めていた。
一晩停滞も考えたが、暗くなるまえに水が引き下山することに成功した。
今この写真を見ても、当時の絶望がありありと思い出される。
何とか一泊二日の沢泊が無事終了した。
ナカザワ家にて
夜はナカザワ家で酒盛りが開催された。
今日の沢登りの話や、今度登りたい沢など、はたまた取り留めもないバカ話も。
話題が尽きず夜は更ける。
ナカザワさんとヤマクルミ君は翌日も沢に行くというが、宮城組の我々二人は勘弁してほしいとゆっくり宮城に帰ることに。
写真はボルダー壁の前でだらけるポムチム。この後、下道で宮城へ帰る。
ガレット・エ・ポムポム
新潟から国道252号で田子倉湖へ。
田子倉湖のそばにある曲がり家の古民家カフェ「ガレット・エ・ポムポム」へ。
ここでポムチムのおすすめのジェラートが食べられるらしい。
確かにバリエーション豊富なアイスのメニューには心が躍ったし、味も素晴らしい。
新潟の帰りにはぜひ寄ってみてほしい。
店の中でカモが放し飼いになっていて驚いた。
客が来るとケージの中に入れられるようだ。
寄り道
寄り道をしながら宮城を目指す。
滝沢川の甌穴群では遡行するならどこを登るなどと話し、瓜割石庭公園で石切り場に吹く風を感じ、夏を楽しんだ。
仙台まで戻るのに丸1日かかったが、まあこういうのもたまにはいいだろう。
2泊3日の短い小旅行だったが、2024年のなかでは一番の思い出になった3日間だった。
2025年もこういった沢旅行をしていきたい。
