双門の滝と垂直梯子 ~奈良県・天川村~

 

2022年5月5日 双門の滝

双門の滝

奈良県吉野郡天川村にある双門峡の主瀑。弥山川上流に位置し、断崖絶壁から流れ落ちる滝の落差は70メートル。下流に一の滝、二の滝、三の滝を従え、これらを含めた4つの滝の総称として用いられることもある。1990年、日本の滝100選に選定された著名な滝だが、道のりは険しく、到達が極めて困難な秘瀑として知られる。

"双門の滝", デジタル大辞泉プラス, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-06-09)

 

頂仙岳 

弥山の北西方にそびえる円錐状の山。標高一七一七・四メートル。「大和志」に「朝鮮嶽」として「在稲邑嶽西南、山脈相連喬木陰森怪奇争聳早旦望之山色鮮明」とあり、山名は「朝に鮮やか」の意という。大峯七十五靡五三番の行所であるが、縦走路からははずれるため遥拝することになっている。頂仙岳北側、弥山川の大峡谷に沿う弥山登山路には、双門の滝と奇勝双門がある。下流に一ノ滝・二ノ滝・三ノ滝があり、その奥千石の直壁にかかる高さ五、六〇メートルの大滝。双門は岩が自然にくり抜かれた大きな石門で、その穴を通してはるか下方が眺められる。辺りは幾つもの大絶壁に取囲まれた急峻雄大な峡谷である。

"ちょうせんだけ【頂仙岳】奈良県:吉野郡/天川村", 日本歴史地名大系, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-06-09)

 

↓大杉谷の翌日の記事です

 

大杉谷の翌日、遂に百名瀑巡り最後のラスボスになるだろう「双門の滝」に辿り着いた。

百名瀑の中でも難瀑と呼ばれる滝は何本かある。「松見の滝」「茶釜の滝」「早戸大滝」「御来光の滝」etc…。

しかし「双門の滝」の訪瀑はその全てを凌駕していると言っていいだろう。

一般登山道では関西最難との呼び声が高い「弥山川双門ルート」。

終わらない垂直ハシゴ。必要とされるルートファインディング能力。行動時間10時間超えの行程だ。

いつもとは違う覚悟を持って進まなければならない訪瀑になるだろう。

この日は「道の駅 吉野路黒滝」から一日が始まった。

 

行程

 

ログ・YAMAP

双門の滝 / kuzumisawaさんの頂仙岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

 

装備

  • 沢靴
  • エマージェンシーセット
  • チェーンスパイク
  • 一眼カメラ&バッテリー等
  • コンパクトカメラ
  • Gopro7
  • 三脚
  • 広角レンズ&角型フィルター

2022年5月5日 双門の滝へ

05:20 道の駅 吉野路黒滝

「道の駅 吉野路黒滝」、5:00起床。

遂に双門の滝アタックの日が来てしまった。

体が十分に休められない車中泊だったが、思ったほど大杉谷のダメージがなかったのか、体のこわばりは少ない。

まだ5月、山の朝は寒い。

 

06:12 熊渡登山口

道の駅から移動し熊渡の登山口まで。

路肩のスペースに車は置けるがけっして広くはない。10台くらいが限度だろうか。

もうすでに車は置いてあるが、弥山の登山客の人が主だろう。

ちなみに双門の滝までの道では1人にしか出会わなかった。

車止めの鎖を跨ぎ訪瀑がスタートした。

 

双門の滝に挑戦する前に様々なサイトで見た「双門コース案内板」だ。

「これが例の案内板か」という高揚と、「危険個所のバツ印が多くないか」という不安が混ざった不思議な気持ちだ。

登山届はネットで提出したが、紙の方はここで提出していこう。

 

06:48 弥山川双門ルート分岐

序盤、白川八丁までは林道が続く。林道を歩いていると後ろから消防の車が走ってきた。

話を聞いてみるとどうやら遭難者が出たらしい。思いがけない出来事に少し背筋から汗が出る。

自分が今から歩くのは遭難・滑落もありえる危険なコースであることを再認識した。

ルートの分岐を左に進み弥山川へ下る。

 

07:00 白川八丁

弥山川、「白川八丁」に到着した。

白川八丁は川が伏流しており、ここから上流を歩いて行くと弥山川が姿を現す。

この弥山川を遡って行けば双門の滝に出会えるのだろう。

 

07:15 ガマ滝

河原を歩いていると伏流していた弥山川が出現し、さらに奥に進むとガマ滝にぶち当たった。

水量は少ない小滝だが、美しい釜を持っている。

ガマ滝を越えると本格的に双門ルートが始まる。

 

右岸の上部に橋が見えた。右岸を登り橋まで移動。

ある程度踏み跡がしっかりしているので不安はない。

水平橋も木の部分は少し怪しいが、強度を信用して進む。

 

と思ったら崩壊している木橋も出てきた。

ここは橋を使わず斜面をへつりながら進んだ。

このルートを歩いて感じたのは「いつまでこのルートを歩けるのだろうか」ということ。

歩けなくなることはないだろうが、現在でもバリエーションに近い一般道といった位置づけだ。

これ以上荒れていけばきっと完全なバリエーションコースになるだろう。

そうなれば双門の滝を訪瀑する登山者も少なくなるだろう…。

それは少し寂しいなと思う。

 

08:11 巨岩帯

巨岩帯に出た。ここでルートロス。

右岸で進めばいいのか左岸で進めばいいのか、それとも高巻けばいいのか。

少し進んで戻ってを繰り返しながら「さてどうしたものか」とグルグルと辺りを見渡す。

岩にうっすらと残る赤ペンキを見つけたため巨岩を縫うように登って行く。

結局これが正解だったようだ。

 

右岸よりに巨岩帯をよじ登っていると鉄梯子と支流に架かる橋が現れた。

ここでルートに戻れたと一安心する。

橋の先は九十九折りに伸びる踏み跡を辿り標高を上げ、吊り橋に辿り着く。

吊り橋から一の滝が見えた。

 

08:35 一の滝・二の滝

DATE
落差:30m/20m
形状:直瀑
水系:熊野川水系

下段が一の滝、上段が二の滝になる。

双門の滝に似た気持ちのいい直瀑だ。

滝前のテラスで観瀑をしながら息を整える。

一の滝から降り注ぐ飛沫が気持ち良い。

 

観瀑テラスから対岸に伸びる吊り橋を渡る。

今まで出てきた木橋や水平ハシゴがボロボロだったため、正直これほど立派な吊り橋が架かっている思っていなかった。

吊り橋の先は右手の踏み跡を辿り急斜面を登って行く。

ここの急斜面はルートロスしやすい。おそらくルートを見失っていたが途中で復帰出来たので無問題ということにしておこう。

 

斜面を登り、梯子を登り。かなり標高も上がってきた。

高度が上がるにつれ危険度も上がってきたので慎重に登る必要がある。

この区間は垂直ハシゴと水平ハシゴが延々と続く。

 

双門ルート名物「垂直ハシゴ地獄」

細尾根に打ち込まれたハシゴを登り続ける。

しっかりと固定されているので滑落の恐怖はないが、ワンミスでお陀仏なのは間違いない

ハシゴを一段登るたび、双門の滝に近づいている実感が強くなり、気持ちがどうしても高揚してしまう。

 

高度感抜群だ。弥山川が遥か遠くに見える。

さすがに一歩一歩に緊張感が出てきた。

 

双門の滝テラスまでならここが最後の核心だろうか。

鎖はあるのでそこまで危ないわけではないが、行く手を遮るように倒木が倒れている。

倒木を乗り越えるとしばらく続いていた細尾根の登りも終了。

尾根を左に巻くようにトラバースし双門の滝テラスへ。

遂に双門の滝とのご対面だ。

 

10:05 双門の滝

DATE
落差:70m
形状:段瀑
水系:熊野川水系

ついにラスボス「双門の滝」とのご対面だ。

双門峡の大岩壁を分断するように落ちる70mもの段瀑。

秘境に流れる秘瀑というだけではなく、他では見ることが出来ないであろうその特異な岩盤と流身が「双門の滝」の魅力だろう。

流身は細かく段を作っており、岩盤の窪みに身を隠すように流れている。

特異な滝は得意な岩が作りだすものだとは承知していたが、この双門の滝は自分の予想の遥か上空を越えていった。

左岸の仙人嵓と呼ばれる大岩壁が200m近くあることで、双門の滝も実際の落差以上の大きさに感じる。

実際にこのテラスに立ったことで双門の滝というバケモノの存在に圧倒されてしまった。

宮城から奈良まで遠路はるばる来た甲斐があったと思う。

 

10:56 滝壺下降ポイント(?)

テラスには45分ほどいただろうか。名残惜しいが下山の時間もあるのでテラスを後にし狼平を目指す。

双門ルートは逆走禁止なので狼平から一般道に戻り尾根を歩き熊渡まで下ることになる。

 

少し進むと朱色の欄干を持った橋が出てきた。

この橋のザレ場から滝壺に下れるそうだ。

今回は大杉谷にロープまで持って行きたくなかったので、今回は滝壺アタックはお預け。

しかしいずれ挑戦しようとは思っている。

 

右岸を歩いたり、左岸を歩いたり、沢中を歩いたり。

テラスより先はよりルートが不明瞭になっていく。

上流に進めば狼平の避難小屋に着くだろうという浅い考えで先へ進む。

 

13:14 空中回廊&ハシゴ

狼平手前の連瀑帯は左岸から巻いた。

左岸に鉄杭が打ち込まれているので、それを足場にしてゆく。

その先には鎖梯子が掛けられている。双門ルートもそろそろ終わりだ。

 

最後の最後にルートミス。

左岸の斜面を詰めていったがどんどん傾斜が強くなっていく。

木の根を鷲掴みながら魂のクライミング。

無事に沢に戻れたからよかったものの最後の最後まで気が抜けない双門ルートだった。

 

13:40 狼平避難小屋

双門ルートを抜け一般道に戻り狼平の避難小屋に到着。

ベンチに腰掛け無事に総門の滝から帰還出来たことに一安心。

本来はここから弥山まで登るつもりでいたが時間的にそれは厳しい。

滝を見れたことに満足し、下山を始めた。

 

14:15 頂仙岳

途中で登山道をはずれ頂仙岳に登頂。

踏み跡は一切ないので道なき道を進む。

頂仙岳を下り登山道に復帰し駆け足で登山口へ。

 

16:40 熊渡登山口

下山は疲れ切っていたのでカメラを出す気力もなくひたすら熊渡登山口を目指した。

朝には4~5台はあったはずの車が一台もない。

心地よい疲労感と訪瀑に成功した達成感を抱きながら、大和八木へ車を走らせた。

 

21:00 大和八木

この日も道の駅で野宿でもいいかとも思ったが、さすがに疲労困憊を極めていたので大和八木でホテルを取った。

暖房の効いた部屋でフカフカのベットで熟睡する幸せは、山に行くからこそ味わえるのだと実感する。

夕食は自分へのご褒美として天ぷら屋に入り、2.5人前を頂いた。

油が乾いた体に染み渡る。ホテルに戻りこの日は大人しく就寝。

南紀遠征最終日に備える。

 

2022年5月6日 奈良観光

実はこの南紀遠征で一番つらかったのが最終日の奈良観光だ。

足は筋肉痛の限界を越えてしまったようだ。

思うように動かない体に鞭を打ちつつ東大寺公園を歩く。

広すぎる東大寺に文句を言いながら、古代日本における寺社権門の強大さを十分に味わった。

夕方まで観光するつもりだったが、体が脳にもう限界だとサインを送っていたので昼には京都に移動し2022年の南紀遠征が終了した。

 

 

今回の南紀百名瀑巡りの遠征はトラブルもなく無事に終了することが出来た。

大目標であった「七ツ釜滝」「双門の滝」の訪瀑はもちろん、奈良観光も楽しむことが出来た。

「双門の滝」の滝壺アタックは次回にお預けになったので、南紀にはまた訪れることになると思うが、またそれは先の話になりそうだ。

 

これだ百名瀑巡りの行程も99/100が終了した。

難易度の高い滝巡りはもう終わってしまったと言っていい。

後は後鳥羽上皇の島流しで日本史に出てくる隠岐の島に流れる壇鏡の滝を残すだけだ。

一応、近々隠岐の島遠征の計画も立てているので、百名瀑巡り完全達成になる日も近い。

百名瀑巡りの呪いが解ける日がついに訪れる。

 

 

 

訪瀑MAP
今まで訪れた滝の一覧はGoogleMapでまとめております

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事