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ラスト世界百名瀑(日本のみですが…)
2019年のGWは世間では前代未聞の10連休
私もしばらく前から10連休には心躍らせ、海外の滝でもいこうかなと計画を練っていました
しかし、連休中の仕事が入るのか入らないのなかなか決まらず、また海外への渡航費も洒落にならない現状
なので緊急事態でもフレキシブルに対応できる「車で紀伊半島」という計画に落ち着きました
行きたかったなぁ、アイスランド
滝王国とも名高い「紀伊半島」ですが、ちゃんと滝巡りで訪れるのは初めての私
東北からは1000km近く離れているため、どうしても気軽には訪瀑できないのです
名瀑・豪瀑が立ち並ぶ滝世界のマンハッタン「紀伊半島」
ですが紀伊初心者の私、地理も水系も全く頭に入っておりません
そんな状況で難瀑・秘瀑には単独で入るのは無謀です
なので、今回はぐるっと紀伊半島を周り、ざっくりと把握するとこに努めました
また、『世界百名瀑』に選ばれた日本の滝は大台ヶ原の「中の滝」を残すのみということで「中の滝」の訪瀑を第一目的に設定
雨続きの紀伊半島でしたが、なんとか晴れの日を見つけって訪瀑叶いました
今回はそんな「中の滝・西の滝」の記事になります
※今回「中の滝・西の滝」へ訪瀑するために使用した「滝見尾根」はしばらく前に一般登山道から外された登山道になります
立ち入り禁止の「西大台調整地区」には含まれていないものの、両側に切れ落ちている危険な区間が多いため、訪瀑の前には十分な準備と可能な限りのリスク回避をした方がいいかと…
2019年5月、ビジターセンターに確認も取りましたが、「立ち入り禁止ではないが、どうぞとも言えない。あくまでも自己責任」とのことでした
YAMAP
ざっくりルート
・国道169号から大台ヶ原ドライブウェイに入り終点の駐車場まで
・シオカラ谷へ歩き、橋を渡ったら「滝見尾根」に入る
・崖のような「滝見尾根」を下り「西の滝」前まで
日時:2019年5月2日 目的地:中の滝・西の滝
GWも後半戦
3日ほど前から紀伊半島には入っていたのですが、ずっと悪天候が続きたいして滝巡りも出来ずにモヤモヤしていました
「桑ノ木滝」「不動七重の滝」「布引滝」などの時間のかからない百名瀑巡りをしていたのですが、これはまた別に記事にします
スマフォの天気図と毎日にらめっこすること3日、やっと大台ヶ原に晴れ間が!!
朝一で奈良の北部から大台ヶ原まで車を走らせます
が!しかし!!駐車場はガスの中
風も強く、周りの登山客も車の中で待機しています
滝自体も滝見展望台までは1時間強で行けるため、ガスの中の尾根歩きは避けたいなぁと車の中で葛藤を続けます
粘ってるけどダメそう
— 葛見さわ@滝壺紀行 (@kuzumi_sawa) May 1, 2019
九時になったらさすがに出よう
9:14 大台ヶ原駐車場
大勝利!!
大学の後輩の気象予報士に「9時ごろにはガスも抜けます」とアドバイスをもらっていましたが、まさかのピタリ賞
風は未だに強いですが、さっそく滝見尾根に向かいましょう
思ったよりスタートが遅れてしまったので、中の滝を見た後に「大蛇嵓」(だいじゃぐら)に寄るのは難しいかもしれません…
焦っても仕方ないのでのんびり行きましょう
前日までは雪が降ったり、雨が降ったり、移動日だったりで気持ちのいい滝巡りがまったくできていなかったのでルンルンで歩いています
「風きもちいい!」「緑、綺麗!」「木がいっぱい!」
思考が幼稚園児まで退化していました
それほどまでに鬱屈してたんですね
大台ヶ原は2億年前に隆起した300mの断崖で、トウヒ(マツ科)が有名ですね
ただ、現在はトウヒの立ち枯れが問題になっており、これにより西大台地区が利用調整地区に指定されました
西大台は基本立ち入り禁止ですが、申請と講習を受ければ即日でも許可が下りることもあるとのこと
今回の滝見尾根は西大台には含まれませんが、次回訪れる時は西大台にも入ってみたいですね
・・・じっと手をみる
ファイントラックのラピッドラッシュグローブ
滝巡りには重宝していたのですが、もうさすがに限界ですね
買い替えましょう…
駐車場からシオカラ谷まではそこそこ標高を下げます
一般登山道は舗装もしっかりしており、楽々進んでいけます
帰路あんなことになるなんて全く思ってませんでした…
9:37 シオカラ谷吊り橋
シオカラ谷吊り橋まで降りれば、滝見尾根はもうすぐです
沢に降りて、涼をとっている人たちを横目で見ながら、今回の核心「滝見尾根」へ向かいます
9:50 滝見尾根
地形図を眺めながら、尾根の入り口にあたりを付けながら歩いていくと
少し離れたところにピンクテープが!
地形図を見ても間違いはないようです
ピンクテープはかなりの数付いているのですが、ところどころ外れていたり、見えなくなることもあります
尾根の始まりは枝尾根に迷い込まないように注意が必要です
迷ってしまうと…
こんなことになります
どこだここは
GPSを見ると「東の滝」の落ち口の近くにいるみたいです
謎のピンクテープを追ってきたらこんなことに…
とりあえず絶対に間違えてると思うので尾根に上がりましょう
ある程度まで進んでしまえば枝尾根もなくまっすぐな道
道も明瞭で迷う心配はないのですが、斜度がえぐい!!
帰路を心配しながら滝見展望台まで
10:50 滝見尾根・滝見展望台
滝見尾根に到着
まさに絶景!!
滝に相対して、右手に見えるのが「中の滝」、左手に見えるのが「西の滝」
日本の滝百選にも選ばれています
少し離れたところに「東の滝」も流れていますが、こちらは世界百名瀑「中の滝」に含まれてはいません
この2つの滝が「中の滝」として『世界百名瀑』にも選ばれています
2つの滝の全体を同時に見ることが出来るのがこの「滝見展望台」
昔はここまで登山道が整備されていたみたいですが、滑落も多く廃道になったということです
落差だけでは称名滝より規模は小さく、羽衣の滝と同じぐらいのはずですが、私と中の滝、お互いV字渓谷の両対岸にいることから高度感がものすごかったです
まさに高層ビルから滝が落ちてくるような
中の滝が段瀑とは言うものの、ほとんど直瀑のような形になっていることからこの高度感が生まれているのだと思います
『世界百名瀑』の中で「梅花皮大滝」と並び立つ難瀑
ただ、その甲斐あってか中の滝と相対した際には「滝巡り」を続けていてよかったと思いました
こういう滝と出会えるからこそ「滝巡り」はやめられないんですよね~
こちらは西の滝の2段目と3段目
1段目は深い溝の中を流れているとのことで、陰に隠れてしまっているみたいです
三段目の中腹で、日に照らされて虹が出てきています!
滝見展望台からさらに標高を下げ、沢まで降りましょう
ここが辛かった…
辛いのもそうですが、危険な箇所も多かったのでカメラも閉まって両手を使って下っていきましょう
11:30 西の滝
西の滝滝前に到着!!!
深い深い谷底まで降りてきてしまいました
水量が特別多いわけではありませんでしたが、落差とスケールが日本離れしています
2・3段目だけでも100mオーバーの巨瀑
規模の大きさに大興奮してシャッターを切り続けます
1段目は深く陰に隠れ、2段目に2筋に膨らみ、3段目は棚から飛び出して岩盤にぶつかり飛び散り滝壺へ
ひたすら見続けても飽きないです
こっちは「中の滝」の下部
下まで降りてしまうと落差250の全貌を見ることは叶いませんが、それではその勢いを感じることはできます
沢を渡れば(渡るといっても巨岩帯なのでクライミングに近いですが)中の滝の直下まで行けるらしいのですが、沢が西大台の境界になっているのでここで帰りましょう
「滝は永久と瞬間の芸術」
14:20 登山道復帰
滝見尾根を戻り、登山道まで
滝見尾根の帰路の写真が1枚もないのはカメラを出す余裕もなかったから
重い撮影機材と自分の体、ひたすら続く登り、悲鳴をあげる太ももとふくらはぎ
何度も立ち止まりながら標高を上げました
(GOPROは起動していましたので、後日UPする動画では私の悪戦苦闘っぷりもお見せできます)
壊れかけの体を休めつつ、大蛇嵓まで行けるのか再考
根拠はありません
大蛇嵓までは少し登り基調ですが、さっきまでの斜度と比べれば平坦もいいところ
歩きやすさに感動しながら進んでいきます
登山道からはるか遠くに「中の滝」の落口が見えました
一般登山道から見ることができる「中の滝」はこの地点だけなのは悲しい話です
15:00 大蛇嵓
高低差800mの断崖の先端に立っています
今までの疲れもぶっ飛ぶほどの絶景
「日本の秘境100選」は伊達じゃないですね
「大蛇嵓」を薦められた時は、ちょっと寄ってみるか程度でしたが、これは納得
名残惜しいですが暗くなる前に国道まで戻りたいので、駐車場までシオカラ谷経由で帰りましょう
16:26 大台ヶ原駐車場 帰還
帰還! (@ 大台ヶ原山 in 上北山村, 奈良県) https://t.co/0vXd827G0C
— 葛見さわ@滝壺紀行 (@kuzumi_sawa) May 2, 2019
なぜ帰路の写真がないかというと(以下略)
滝見尾根でボロボロになった体は大蛇嵓で止めを刺されました
ひたすら続くシオカラ谷からの登り返し
永遠に続く苦行
階段を10段登って休む、登って休むの繰り返し
なんとか日が暮れる前には帰ってくることが出来ました
大台ヶ原に沈む夕日が目に染みる…
大台ヶ原の魅力を知るには1日では足りなすぎます
「大杉谷」も歩きたかったし、ピークハントもしたかった
再訪を沈む夕日に誓って下山します
登山客を駐車場から撤退し始めると、駐車場に天体望遠鏡を用意している人たちがチラホラと
様々な山の楽しみ方があって、それを受け入れる山の懐の広さ
それを強く感じた1日でした
ではまた
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