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金目川左俣と井戸底ゴルジュ
朝日連峰
山形県と新潟県の県境一帯を占める越後山脈の北端に位置する花崗岩類からなる隆起山地。朝日連峰ともよばれる。主峰大朝日岳(1871メートル)から以東岳(1772メートル)に続く1600メートルを超える主稜線を中心に、南北60キロメートル、東西30キロメートルに及ぶ日本有数の豪雪山地である。山稜は冬季季節風による偏東積雪の影響で、東側が急斜面の非対称山稜となり、山腹は深い谷が形成されて険しい山容を呈し、東北のアルプスといわれて登山客も多い。豊富な高山植物群落や、ブナの原生林が残り、クマ、カモシカの生息も多い原始的自然景観が特徴で、磐梯朝日国立公園の一部。中世には朝日修験の霊地であった。
"朝日山地", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-10-23)
朝日連峰の鋭鋒「祝瓶山」に詰め上がる名渓「金目川左俣」。
金目川には井戸の底のように暗いゴルジュがあるという…。
そのゴルジュを通過すべく一泊二日の山行が始まる。
仙台を出発し山形の小国に向かった。
行程
ログ・YAMAP
金目川左俣~祝瓶山 / kuzumisawaさんの祝瓶山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
装備
ハードシェル・沢靴(ラバー)
水1.5L・行動食
ハーネス・ガチャ類・ロープ(30m1本 )
撮影装備一式
一泊装備
YOUTUBE
2022年9月10日 金目川左俣①
10:20 石滝川林道
今回は車は2台用意し、1台は針生平(はんなりだいら)にデポし、もう1台で入渓地点の在所平橋まで向かう。
この日は私が朝まで待機当番だったのでかなり遅めの出発になった。
石滝川を越えた辺りだろうか、重機が2台道を塞いでおり、その先に溢れんばかりの土砂がこんもりと山を作っていた…。
どうやら8月の豪雨の影響で林道が破壊されているようだ。
しょうがないと入渓地点の7km手前から歩くことにする。
土砂だけでなくアスファルトすらも流されており、道は完全に分断されている。
この林道がまた使えるようになる日はくるのだろうか…。
12:00 在所平橋
灼熱のアスファルトの上を日陰を探しながら2時間弱歩くやっと入渓地点である在所平橋に辿り着いた。
ここから金目川に入渓し、ようやっと沢登りが始まる。
金目川の水は澄んでおり、太陽を反射しキラキラ光っている。
河原歩きは長いが景色が美しいのであまり飽きはしなかった。
最近テンカラを始めたポム氏。時々、糸を垂らしながら先に進む。
魚影は濃く、沢を歩いているとイワナが上流に逃げていくのが見える。
14:25 魚留滝
2段に落ちる魚留滝が見えてきた。
この滝も土砂で1段目がかなり埋もれてしまっている。
1段目、2段目も右から容易に登れる。
14:40 テン場
滝の上にいい砂地があったので少し早いがここで1泊することにした。
これから先はゴルジュになるため、このポイントが最適だろう。
私は薪を集めに、ポム氏はイワナを釣りに、それぞれ出発した。
その後、ポム氏が見事20cmオーバーのイワナを釣り上げた。
集めた薪に火をつけ、イワナは塩焼きにした。脂が乗っていて大変美味。
夕食は鴨うどんをごちそうになり、焚火にあたりながら焼酎を喉に流し込む。
ほろ酔い気分で中秋の名月を眺めながら夜は更けていった。
2022年9月11日 金目川左俣➁~祝瓶山
05:00 起床
朝、寒さで目が覚める。朝5時。
なかなか早い目覚めだったが用意を始める。
06:30 金目川左俣へ
準備を整え、テン場を出発。すぐ分岐が出てくる。
この分岐を左に進んだ先に井戸底ゴルジュがあるはずだ。
土砂で埋まっていなければいいのだが…。
06:45 左俣ゴルジュ
左俣に入るとゴルジュが現れた。
小規模なゴルジュが点々と繋がっている。
フリクションは抜群で気持ち良く登れる。
水は腰までくらいまでだろうか。深いところでは腹くらいまで浸かる。
やはり土砂の流入である程度埋まってしまっているようだ。
08:00 井戸底ゴルジュ
ゴルジュを何か所か抜けると、先にかなり深く切り込んでいるゴルジュが見えた。
ついに「井戸底ゴルジュ」に辿り着いた。
降り注ぐ太陽光は沢床には届かず、ゴルジュ内は薄暗く、まるで異世界のようだ。
井戸底ゴルジュもかなり流木が詰まっており、期待していただけショックも大きい。
ゴルジュ内は美しく、登っていても楽しいのだが、流木と土砂のせいで難易度も下がっており、あっという間に通過してしまった。
せっかくの井戸底ゴルジュなのだからもう少し楽しめばよかった…。
08:40 2段20m滝
ゴルジュを抜けると滝が断続的に続いている。
2段20m滝は左岸から小さく巻く。
その後も10mほどの小滝が何本か出てくる。直登したり、巻いたりと忙しい。
かなり標高が上がってきた。
空が近い。そろそろ稜線だ。
12:15 祝瓶山稜線
最後のヤブ漕ぎはかなり辛かったがヤブと格闘しやっと稜線に辿り着いた。
稜線は少し風が吹いており、爽快で気持ちがいい。
右手には祝瓶山が見える。さあ山頂だ。
稜線からは朝日連峰の峰々が一望できる。
朝日連峰の主峰「大朝日岳」はまだ登っていないので今シーズン中に登りに行きたい。
12:30 祝瓶山山頂
「東北のマッターホルン」とも呼ばれる祝瓶山。
見事な三角形の山容が特徴で、広大な朝日連峰の中でもかなり目立つ山だ。
山頂はけっして広くはないが、360度視界が開けているので景色を眺めているだけで飽きない。
15:00 針生平下山
下山は針生平登山口へ下る。約2時間ほどだっただろうか。
重いザックを担ぎ急傾斜の山道を下ってゆく。
荒川に架かる貧弱な橋を渡り、デポした車に戻り、今回の山行は終了。
1年ぶりになった1泊2日の沢登り。
やはり体力的にはかなり落ちていたようで、2日目の行程はなかなか辛かった。
しかし沢でしかできない体験は何事にも代えがたい。
今後、滝巡りを続けてゆく上でも沢からは逃げることが出来ないので、さらに沢登りに強くなれればと思う。
まずは今年中に宮城の笹木沢「鎧滝」を訪瀑したい。