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矢櫃沢
船形山に流れる矢櫃沢という沢があるらしい。
そしてその沢には矢櫃滝・釜伏の滝・横川大滝という滝があるらしい。
ということは知っていたが、矢櫃沢は宮城の中でも屈指の難易度を誇ると聞いていた。
グレーディングは3級上と4級には満たないくらいだが、アプローチの林道が荒れており、近年の遡行記録はほとんど無いような状況であったため気軽に踏み込めるような沢ではなかった。
そんな中でもポムチムとはチャンスを見つけて挑戦しようという話はしており、そしてついに矢櫃沢に挑戦することとなった。
メンバーにエシコ沢でも一緒だった団栗林さんを加え、3人パーティーで林道を歩き始めた。
前日の雨が心配だが、とりあえず入渓してから考えよう
行程
ログ・YAMAP
横川矢櫃沢 / kuzumisawaさんの後白髪山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
装備
ハードシェル・沢靴(ラバー)
水1.5L・行動食
ハーネス・ガチャ類・ロープ(30m2本)
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2023年8月23日 矢櫃沢
08:26 矢櫃沢入渓
前情報の通り林道は荒れ放題だった。
長い林道を進んで矢櫃沢を目指す。
途中、林道から外れ枝沢に入渓し本流へ。
矢櫃沢への出合の滝は懸垂下降にて降りた。
08:30 堰堤
ついに矢櫃沢だ。
本流を少し歩くと堰堤にぶち当たる。
左岸にトラロープが懸かっていたのでありがたく使わせてもらう。
15cmオーバーはありそうなヤマナメクジです!
谷が狭まってきた。悪渓と言われる矢櫃沢の片鱗を覗かせる小滝だ。
ここは突っ張りで越えたが、あまりヌメりは感じず、楽しさを感じながらの遡行が続いている。
09:04 矢櫃滝
落差:15m?
形状:段瀑
水系:横川水系
1本目の滝「矢櫃滝」が現れた。
見えずらいが2段に分かれている段瀑だ。
上段は細く、下段は広く流身が形を変えながら流れている。
下段は団栗林さんがノーロープでするする登って行ってしまった。
我々はロープを出し、流身左を登る。
1か所、悪いところがあったが何とかクリア。
問題は上段だった。
前日の雨の影響だろうか、流身の中を登ろうとしても水圧に負けてしまう。
ハンマー投げも試してみるも、なかなか落口に引っ掛からない。
小雨も降ってきた…。
撤退という文字が頭の中を巡り始めたころ、団栗林さんが右壁をエイドクライミングで登ってしまった。
谷の中に大喝采が響き、先への希望がつながった。
小雨もすぐに止み、気温も上がってきた!
矢櫃沢、楽しくなってきた!
10:31 釜伏滝
落差:7m
形状:直瀑
水系:横川水系
両岸が一気に迫り、行く手はは洞窟のように暗く先が見えない。
暗闇からは滝の音だけが響いている。2本目の滝「釜伏の滝」だ。
あまりに異質な光景に足が止まる。
暗闇の中で流身だけが煌めいている。
遡行の計画を立てた時に1番難しいかもしれないと考えていたのがこの釜伏の滝だった。
水量が多かったり、水温が低すぎると、滝に取り付くのも一苦労だと聞いていた。
この滝はポムチムが果敢に滝へと泳いでいき、無事取り付くことに成功。
暗闇の中へオレンジのロープを延ばしていき、見事落口までつなげることが出来た。
フォローで登ったが、ガバは多いが体を持ち上げるためのスタンスがあまりなかった。
手を頼りによじ登っていく。
釜伏の滝をさっくり登れたので、矢櫃滝の遅れを取り戻せました
11:19 まわり滝群
釜伏の滝を越えると「まわり滝群」と呼ばれる連瀑ゾーンに入る。
どの滝もしっかり落差がある滝だが登るのは難しくない。
3~4本滝を越えて行くとまた水路が狭まってきた。
ついに横川大滝のお出ましだ
12:05 横川大滝
落差:35m
形状:段瀑
水系:横川水系
矢櫃沢最大の滝「横川大滝」が現れた。
上段は広がり、下段は窄まりながら落ちる段瀑だ。
本当に35mあるのかは微妙なところだが、かなりの落差であることは間違いないだろう。
ここは自分がリードしたがなかなかにイヤらしい滝だった。
下段は奥のルンゼから登ったが、逆層の岩盤とヌメりで苦戦した。
そしてそのまま上段手前でビレイすればよかったのだが、なぜか灌木帯の方まで登ってしまった。
この灌木帯までも逆層で、なんとか灌木帯に辿り着いてビレイするも体力を激しく消耗することになった…。
上段は左岸のルンゼから落口を目指す。
ここはポムチムリード。想像以上にボロボロで、岩を落としながらのクライミングとなった。
このルンゼは年々悪くなってと思うので、左岸の灌木帯から登るのもありだろう。
14:04 枝沢へ
無事、落口に辿り着いた。この日の核心はこれで終わり。
あとは登山道に抜けるだけだ。
このまま本流を詰めていく記録も呼んだが、落口からすぐの枝沢から山頂近くまで抜けられそうだ。
枝沢を詰めていくが、小雨が本降りになり、雷の音も聞こえ始めた。
横川大滝で本降りにならないで本当に良かった…
15:00 後白髭山
ヤブはなかなかに濃かったがなんとか後白髭山に到着。
音は聞こえるが稲光は見えない。
どうやら雷は仙台市街の方で降っているようだ。
さっさと下山してしまおう。
17:19 下山
途中までは登山道の踏み跡が見えていたが、徐々にヤブに飲まれ登山道をロスト。
尾根沿いに下って行き林道までは戻れたので一安心。
そのまま林道を辿り無事今回の山行は終了した。
矢櫃沢はなかなか情報もなく、撤退も覚悟で行った沢だったが、無事怪我無く遡行出来たことが嬉しかった。
矢櫃滝・釜伏の滝・まわり滝群・横川大滝と一見の価値がある滝も多かったので、滝好きとしてもかなり楽しむことが出来た。
アプローチがもっと楽になればまた行きたいと思うのかもしれませんが…。
とりあえずあと3年はいいかな…。