北蔵王縦走 ~カケスガ峰・雁戸山・南雁戸山・名号峰・熊野岳・刈田岳~

 

 

2022年8月5日 北蔵王縦走

蔵王山

奥羽山脈中南部にある山で、山形県の山形市、上山市、宮城県の柴田郡、刈田郡にまたがり、おもに安山岩の成層火山群の総称。蔵王連峰ともいう。主稜線の南北延長は約30キロメートル、最高峰は熊野岳(1841メートル)。澄川―難場沢を境に、北蔵王と、生成のより古い南蔵王に大別され、一般には北蔵王を蔵王山とよぶ。北蔵王は、熊野岳、刈田岳(1758メートル)、馬ノ背などの連なる外輪山が火口湖御釜(別名五色沼、直径約360メートル、水深約40メートル)と中央火口丘の五色岳(1674メートル、噴石丘)を抱く複式火山である。ほかに、地蔵山(1735メートル)、名号峰 (1491メートル。全山が花崗閃緑岩で火山ではない)や、蔵王温泉を湧出する高湯爆裂火口を取り囲む鳥兜山(1401メートル)、滝山 (1362メートル)なども含む。北蔵王では、1183年(寿永2)を皮切りに、1972年(昭和47)まで、噴火(水蒸気爆発)、噴気・温泉活発化、地震、鳴動などが四十数回も記録され、現に噴気孔や温泉が多い。ただし、1867年(慶応3、死者3人)などの被害を伴った諸噴火は御釜の内外で発生した。火山泥流を出しやすい。山頂一帯はコマクサなどの高山植物以外は植生の発達が悪く、樹氷が形成されるアオモリトドマツなどの亜高山帯林は標高1300~1600メートルにかけて広がる。南蔵王は屏風岳(1825メートル)、不忘山 (1705メートル)、後烏帽子岳(1681メートル)などの円錐火山が連なり、植生の被覆がよく、とくに西側斜面に亜高山帯林が広がる。蔵王山は、古来、不忘山 、刈田嶺とも称されたが、7世紀に僧行願 が吉野の金峰山から蔵王権現 を勧請 して以来、この名でよばれるようになったと伝える。江戸末期までは女人禁制の修験 、信仰の山であった。1950年(昭和25)に日本観光百選山岳部の第1位となり、1962年にエコーラインが開通するなど、観光開発が進み、壮大な火山景観に加え、温泉のある樹氷とスキーのメッカとして知られる。蔵王国定公園の中心。

"蔵王山", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-08-16)

2020年の南蔵王縦走からずっと気になっていた北蔵王のエリア。

雨が続いている今年の夏だが何とか晴れ間を見つけて決行することになった。

笹谷峠から雁戸山、名号峰を越え熊野岳へ。下山は刈田岳から大黒天に抜けるルートだ。

 

仙台から遠刈田で降り、蔵王エコーラインを走る。

エコーラインのカーブは霧に包まれており今日の山行に一抹の不安が残る。

三階の滝の滝見台を越えると少し霧が晴れてきた。

大黒天駐車場に着いた頃にはしっかりと太陽が顔を出してくれていた。

今日はいい蔵王縦走日和になりそうだ。

 

 

YOUTUBE

 

行程

 

ログ・YAMAP

北蔵王縦走 ~カケスガ峰・雁戸山・南雁戸山・名号峰・熊野岳・刈田岳~ / kuzumisawaさんの雁戸山刈田岳南雁戸山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

 

装備

・トレランザック 

・ストック 

・補給食

・水2L

 

 

北蔵王縦走

05:15 大黒天駐車場

今日同行してくれるノブ氏と大黒天駐車場で合流。車を2台使って笹谷峠から大黒天まで一気に抜けてしまう予定だ。

車から降りて振り向くと仙台平野に雲海が広がっている。

寝ぼけまなこにこの太陽は眩しすぎる。

 

06:30 笹谷峠

エコーラインを下り、また霧の中へ。

遠刈田から国道286号を山形側に走り、県境「笹谷峠」に到着した。

今日はここから大黒天まで約17kmの北蔵王全山縦走になる。

笹谷峠はまだ霧が出ている。雁戸山まで登れば雲海の上に出ることができるだろうか。

 

笹谷からカケスガ峰まではヤブが目立つ。

朝の雨に濡れたヤブを掻き分けていくと、体がぐっしょりと濡れてゆく。

湿度も高く気持ちが悪い。早く標高を上げねば…。

 

08:00 カケスガ峰

登山道から外れカケスガ峰へ。

山頂まで出ると霧も薄くなり青空も少し見えてきた。

雨露で濡れた体とカメラをタオルでぬぐい、雁戸山へ視線を移す。

雁戸山のピークは少し雲がかかっている。

 

雁戸山へ向かう途中で完全に霧から抜けることが出来た。

笹谷峠を振り返ると雲海がどこまでも広がっている。

山形神室・仙台神室の稜線が雲海から顔を出している。

 

雁戸山もやっと霧の中から現れてくれた。

雁戸山山頂直下は少し岩場もあるが快適に登ることが出来る。

あっというまに雁戸山山頂へ。

 

09:20 雁戸山

カケスガ峰から1時間ほどで雁戸山山頂に到着。

山形側も雲は出ているが雲海というほどではない。

しかし仙台側にはみっちりと雲海が出ており、絶景北蔵王縦走に仕立て上げてくれている。

 

雁戸山から南雁戸山は先行者がヤブがひどいと引き返してきたが、歩いてみるとそこまでのヤブではなかった。

ヤブを抜けると後は快適な稜線歩き。

適度な高度感を楽しみながら南雁戸山へ登ってゆく。

 

10:25 南雁戸山

南雁戸山に到着。看板に「Ganto」「Gando」が並んでいる。

読み方は「Ganto」だと思っていたがどちらでもよかったのだろう。

南雁戸山から八方平避難小屋まで180m下ってゆくが…。

 

ここからが地獄だった。

ヤブ密度がどんどん上がってゆき、最終的には中腰になりながら頭からヤブに突っ込んでゆく。

朝の雨で斜面もぬかるんでおり足場も悪い。

ここから先は記憶がない…。

 

ヤブを抜け喜びのグリコポーズを決める。

しかしまたヤブが始まる…。

 

11:10 八方平避難小屋

八方平避難小屋でようやく意識が戻った。

ここまでの登山道の荒廃具合から八方平避難小屋もあまり人が入っていないだろうと思っていたが、中はかなり綺麗に片付いていた。

ヤブ区間での消耗もあり、ここで一つ大休憩をとる。

トイレも完備されている住める系の避難小屋だった。

 

八方平避難小屋から名号峰まではかなり整備がされており快適に樹林帯歩きをすることができた。

八方平避難小屋を整備している地元の山岳会は熊野岳側から来ているのだろうか。

そうなると南雁戸山から八方平避難小屋の区間は本当に人が入っていないんだろうな。

遥か彼方に刈田岳が見える。

ゴールはまだ先だ。

 

13:25 名号峰

名号峰に到着。ここまで来れば熊野岳はもうすぐだ。

熊野岳まで標高差350m、傾斜は急ではないが距離が長い。ジワジワと樹林帯を登ってゆく。

標高が上がってゆくと東北の低い森林限界を越え、展望が開けてきた。

南雁戸山から鬱々しい樹林帯(ヤブが大半)が続いていたのでこの展開はありがたい。

 

遠くに不帰の滝が見えた。こちら側から見る不帰の滝は初めてだ。

火口の入山規制のため今は滝壺までの訪瀑は制限をされている。

またいつか訪れたいと切に願う。

 

 

樹林帯を越え、見える緑はハイマツのみとなった。

今まで歩いた北蔵王縦走路を振り返ると山形側から登ってきた雲にのまれてしまっていた。

樹林帯の深い緑とハイマツ帯の明るい緑のコントラストが美しい。

 

15:20 熊野岳

今日の最終目的地の熊野岳に到着した。

何度も何度も登頂している熊野岳。

蔵王ハイラインの先からなら1時間で辿り着く山頂だが、今日はいつもと違う山頂だ。

なにせ9時間もかかっているから。

 

15:40 御釜

御釜のエメラルドグリーンもいつもより鮮やかに見える。

 

蔵王レストハウスで早めの打ち上げ。

玉こんとノンアルビールで乾杯。

 

下山は刈田岳から大黒天まで。

雲海は朝からずっと残ってくれていた。エコーラインが雲海へ伸びている。

こんなに天気に恵まれた蔵王は久しぶりだ。

 

17:00 大黒天駐車場

12時間前に笹谷峠へ出発した大黒天へ戻ってきた。これで北蔵王縦走も終了だ。

10時間半、17kmの行程は最近長い距離を歩かなかった自分にはなかなかハードだった。

久しぶりに体力が尽き果てる感覚を味わった。

 

下山後は蔵王そば新楽食堂へ。

ほかの店は閉まっている時間でも開いているのは有難い。19時までの営業だ。

そばアレルギーの私でも食べれる鴨ラーメンが大変美味だった。

今度から蔵王下山後には新楽食堂にお世話になるかもしれない。

 

 

今回の北蔵王縦走で分割蔵王全山縦走が2年越しに叶った。

これでたまの蔵王通いもひとまず落ち着くかな。

あとはまだ登れていない東北の百名山を沢と滝の合間にチマチマ登ってゆこうと思う。

ヤブ区間の記憶はないが、北蔵王縦走路、歩きごたえのあるコースだった。

 

訪瀑MAP
今まで訪れた滝の一覧はGoogleMapでまとめております

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