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2020年10月18日 二天の滝
昨年の11月、あこがれの滝の一つである「二天の滝」に挑戦しようと一念発起し、上流側からのコル越えルートで滝を目指しました。
しかしどこもかしこも通行止めに次ぐ通行止めで、滝どころか沢にもたどり着かない始末。
二天の滝を目指すにはやはり下流からの遡行ルートしかないことが分かり、いつか二天の滝に行く日を夢見て早一年。
やっとチャレンジの日がやってきました…
滝巡りを始めた際に「いつかは二天の滝に行ってみたい」と思っていたのですが、そのいつかがやってきてしまうとは。
一年前、二天の滝に行けず安の滝へ転進した時の記事です
ヒトコト滝MEMO
落差は60mと巨瀑の中ではやや小ぶりだが、幅広にどっしりと構える姿は名瀑の一言。
下流から湯渕沢を遡行し滝前に至る。
熊の生息地帯を突っ切るようなルートになるので十分な準備が必要になる難瀑。
MAP
ログ
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装備
・ハーネス・30mロープ1本・ハンマー・ハーケン・スリング・ATC
・沢靴・ハードシェル・チェーンスパイク
・撮影機材一式(D750・三脚)
YouTube
6:20 宝仙湖
仙台から盛岡まで高速道路を使い、盛岡からは下道を走り「宝仙湖」に到着しました。
一時期は宝仙湖や田沢湖周辺にはよく遊びに来ていたのですが、最近はめっきりご無沙汰になっておりました。
去年の二天の滝(通行止め)以来でしょうか。
二天の滝が流れる「湯渕沢」の入渓地点を目指し林道に突入します。
まだ山は霧の中ですが、少しずつ太陽の光も差し込んできました。
6:50 入山
入山口に車を停め、装備を整えます。
今回の訪瀑では熊の生息地を突っ切るようなルートを使うため、モバイルスピーカー・熊鈴・熊撃退スプレー・ホイッスルの熊対策グッズをこれでもかと準備しました。
30mロープと簡易ハーネス、ATC、ハーケンなどのギアも一応ザックに詰め出発。
林道のカーブ地点から入山。
沢沿いに林道を歩いて行きます。
ぬかるみもありましたが、道はしっかりしており、轍もはっきり残っていました。
もっと先まで車で進めたかなとも思いながら入渓地点まで歩きます。
途中から轍も無くなり、踏み跡のみになりました。
7:20 入渓
林道を歩いていると「湯渕沢」に出ました。
このまま沢を遡行していけば前衛滝の「中ノ滝」まで行けるのですが、この時期の沢水は冷たく簡単に体の体温を奪っていくので、できるだけ沢を歩かないように歩きます。
途中でヤブの中へ誘うようなピンクテープが見えてきたので、その踏み跡を辿ると中ノ滝付近の沢に出ることが出来ました。
中ノ滝に近づくにしたがって渓相もどんどん穏やかになっていきます。
静かな山の中に滝音が響いているのが聞こえてきました。
8:25 中ノ滝
形状:段瀑/ヒョングリ滝
水系:雄物川水系
二天の滝の前衛滝「中ノ滝」に到着しました。
二天の滝の上流から下降するルートだと出会うことが出来ない中ノ滝。
落差は60mとかなり立派で、その流身も見事の一言。
上段は一本の落口から岩盤を這うように流れ、下段はスパッと切ったような崖から二本の流身が滝壺に流れ落ちています。
また上段の一部が跳ねているのも中ノ滝の特徴。
周囲の紅葉は盛りと言うにはまだ早いような気もしますが、それでも秋めいた中ノ滝の姿に感動してしまいました。
今回は二天の滝に行くついでに寄っただけになってしまいましたが、この中ノ滝だけでも来た甲斐がありました。
8:40 高巻き開始
二天の滝は右岸でも左岸でもどちらからでも巻けるという情報だったのですが、右岸の方が安全に巻けそうだったので今回は右岸から。
右岸の枯れ沢から登り始めます。
枯れ沢から外れ(これが間違い)灌木を使いながら標高を上げていきます。
滑りやすく急な斜面はチェーンスパイクで対処。
これを使うと足元がかなりしっかりするので、毎回ザックに忍ばせている滝巡りの必需品です。
※ちなみにこれは中ノ滝の高巻きのGPSデータなのですが、滝側に寄ってるログデータが往路、滝から離れているのが復路となってます。
正解のルートはおそらく復路で、枯れ沢を登り途中で灌木帯に逸れず、そのまま登り続けると平坦な場所に出るのでそのあとはトラバースし尾根まで。
これが安全な巻きルートだと思います。
尾根には何か所かピンクテープが括り付けられています。
ここから下降可能なようです。
下を覗き見ると沢が見えました。
斜面もそれほど立っていないのでロープも出さずそのまま下っていきます。
9:00 高巻き終了
高巻きから沢に戻り「二天の滝」に向かいます。
上流は下流より岩が大きく歩きにくい印象でした。
基本は沢沿いを歩いて行けばいいのですが、ところどころ沢の中を進まなければならす、その度に体温と精神が削られていきます。
景色もほぼほぼ変わらない退屈な沢歩き。
2時間ほど変わり映えのない沢を歩き続けると、行く手を塞ぐ門番のような滝が現れました!
秋田の秘瀑「二天の滝」到着です!!
11:00 二天の滝
形状:分岐瀑
水系:雄物川水系
東北を代表する秘瀑の一つがこの「二天の滝」。
滝前に立つとその存在感に圧倒されてしまいます。
落差は60mですが、滝の幅も広く、流身を目一杯広げている姿はまさに「威風堂々」という言葉がよく似合います。
同じ秋田の名瀑「安の滝」の上段と少し似ていますが、あちらが女性的なのに比べ、こちらの二天の滝はどこまでも男性的。
力強い滝の息吹を肌感じ取ることが出来る滝です。
紅葉の最盛を狙いましたが、思ったほど色づいていなかったのは少し残念。
この日の水量は少なめで、写真や動画で見た姿よりは優しい顔をのぞかせていました。
落口から末広がりに流身が広がり、下段ではリズムを作りながら流れ落ちていく二天の滝。
中段の岩盤に沿って斜めに流れる流身は「安の滝」に似ているなと感じました。
滝に近づけば飛び散る飛沫と爆風でカメラを構える体が煽られてしまいます。
自分が思い描いていた「二天の滝」よりも、ずっと迫力のある滝前でした。
二天の滝のWikiはやけにルートについて詳しいのが謎
あこがれの二天の滝。
やっとこの場所にたどり着くことが出来ました。
15:00 入山地点
復路は来た道をそのまま引き返します。
中ノ滝の巻きも往路では間違ったルートを使ってしまいましたが、復路は正しいルートで下り沢に復帰できました。
今回の訪瀑の核心は「熊」!!!
ひたすらに3時間、熊の恐怖に怯えながら歩き続けました。
明るいうちに車に戻ってくることが出来ました。
片道3時間半、撮影1時間の計8時間コースと歯ごたえのある訪瀑となりました。
まずは無事に帰って来れたことに胸を撫でおろします…
「紅葉の二天の滝」は自分の中でも大きな目標の一つでした。
終わってしまった今となっては、なんであんなに尻込みしていたんだろうとも思います。
自分で勝手に二天の滝のハードルを上げすぎていたのかも知れませんね。
それだけ自分の中で「二天の滝」という存在が大きかったのでしょう。
「二天の滝」が終わったのなら、次の狙う東北の秘瀑は「九階の滝」、さらに次は「ひぐらしの滝」、さらにさらに「朱滝」と。
今のところ滝巡りには終わりは来なさそうですね。